全国の弁護士でつくる「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は19日、東京都内で裁判員裁判について考えるシンポジウムを開いた。裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄され、被告の無期懲役が確定した千葉大生殺人事件の被害者遺族、荻野美奈子さん(62)は「裁判員が出した死刑判決を覆したのは納得できない」と改めて訴えた。
荻野さんの娘の友花里さん(当時21)は2009年、千葉県松戸市の自宅マンションに侵入してきた男(54)に殺害された。千葉地裁の裁判員裁判は求刑通り死刑を言い渡したが、東京高裁が破棄。最高裁は今年2月、「殺害されたのは1人で、計画性もない」と従来の量刑基準に基づき、支持した。
荻野さんは「プロの裁判官でつくった先例を重視し、市民感覚を反映しないのであれば、裁判員裁判をやる意味がない」と指摘。被害者支援に携わる弁護士は「先例重視と言われると、裁判員が意欲を失ってしまう」と話した。
シンポジウムには最高裁の担当者や検察官も出席。衝撃的な証拠を裁判員裁判でどう取り扱うかも議論され、傷害致死事件で兄を亡くした男性は「イラストでは伝わらないことがある。遺体写真は絶対に証拠とされるべきだ」と話した。〔共同〕