国立極地研究所の渡辺佑基助教らのグループは21日、マグロやホホジロザメなど体温の高い魚は普通の魚に比べて、遊泳速度が2.7倍速く、回遊距離も2.5倍長いことを明らかにした。ペンギンやクジラなどの恒温動物に近いという。研究グループは高い体温によって速く泳ぐことができるようになり、地球規模での大回遊を可能にしたと見ている。
研究グループはセンサーなどを搭載した記録計をせびれなどに取り付けて測定した魚類46種の平均遊泳速度を比べた。
体温がまわりの水温より5~15度高いホホジロザメやマグロといった魚は、体温が水温と変わらない同サイズの魚に比べて2.7倍の速度で泳ぐことがわかった。ペンギンなどの海鳥やクジラなどの海生哺乳類に近い。マグロの遊泳速度は速いというイメージを科学的に裏付ける研究成果としている。
年間の回遊距離を比較したところ、体温の高い魚は普通の魚より2.5倍も回遊距離が長く、遊泳速度が速い魚ほど回遊距離が長い傾向にあったという。渡辺助教は「回遊距離が長くなることで、エサの増減など環境の変化に対応しやすくなると考えられる」としている。