東海旅客鉄道(JR東海)が21日午前に山梨県で実施した超電導リニア車両の有人走行試験で、世界最高速となる時速603キロメートルを記録した。16日に自らが出した世界記録(同590キロメートル)を更新、鉄道史上で初めて600キロメートル台に達した。同社はギネス世界記録の認定を申請する。
時速603キロメートルでの走行試験に成功したリニア車両の車内を映すモニター(21日午前、山梨県都留市)
山梨リニア実験線(山梨県笛吹市―上野原市)における、超電導リニア車両「L0(エル・ゼロ)系」の試験走行を報道公開した。この日の試験では、開始から約4分後の10時48分にトンネル内で時速600キロメートルに到達。10.8秒間、約1.8キロメートルにわたり同600キロメートル超を維持した。
設備や乗務員に異常はなかった。実験センターの遠藤泰和所長は「超電導リニアは高速になるほど安定感が増す。乗り心地は一層良くなった。このデータを将来の設計に反映させたい」と話した。
今回の試験は高速走行時の設備のダメージを探り、建設や保守コストの低減につなげるのが目的。2027年のリニア中央新幹線開業時の最高速度(時速505キロメートル)は変えない。
リニアは今年度から建設が本格的に始まり、開業後は品川―名古屋間の286キロメートルを最速40分(東海道新幹線は1時間28分)で結ぶ。
国家プロジェクトとして進められた超電導リニアは、1972年に時速60キロメートルで初めて磁気浮上走行に成功。87年には有人走行で同400.8キロメートルを記録した。99年に有人走行としては当時の世界記録(同552キロメートル)を達成し、03年に同581キロメートルと記録を更新してきた。