インターネット検索最大手の米グーグルが展開する地図サービス「グーグルマップ」に、でたらめな表示が書き込まれる問題が発生した。ネット利用者に新しい施設情報を提供してもらい、グーグルが確認した上で地図に表示する仕組みが悪用された可能性がある。ネット利用者の「善意」でサービス改善を続ける仕組みの隙を突かれた格好だ。
グーグルマップにでたらめな表示が書き込まれていることが広く判明したのは20日。原爆ドームが「核実験場」と表示されたり、皇居内に「オウム真理教」に関連する情報が表示されたりした。その後も、日本の様々な箇所にでたらめな情報が表示されていることが判明。グーグルは「ユーザーから提供された地図上の表記内容に間違いやポリシー違反があった場合は、対象を削除するなどの対応を取っている」とコメント。でたらめな表記の削除を進めている。
グーグルは原因を「確認中」としているが、グーグルマップの施設情報を最新に保つための仕組みが悪用された可能性が高い。グーグルマップでは、新店舗や営業をやめた店舗などの施設情報を幅広いネット利用者に送ってもらい、グーグルが様々な方法で確認した上で表示する仕組みを設けている。ネット利用者の「善意」でデータ改善を続ける仕組みで、ユーザー投稿で成り立つネット百科事典ウィキペディアなど大手ネットサービスも広く採用する。
グーグル側は、ユーザーが提供した情報を同社内で「確認」した上でグーグルマップに掲載する仕組みを採用するなどの安全弁を設けていた。だが今回は悪意ある利用者がその枠組みをかいくぐったとみられる。