【ニューヨーク=西邨紘子】米化学大手デュポンが21日発表した1~3月期の決算は、純利益が前年同期比28%減の10億3100万ドル(約1237億円)だった。特殊要因を除いた1株利益は1.34ドル。前年同期の1.58ドルを下回ったが、積極的なコスト削減が奏功し市場の予想(1.31ドル程度)は上回った。
売上高は9%減の91億7200万ドル。為替変動が6%程度の押し下げ要因となった。売り上げ減に対応するため、売上原価は同7%減、販売管理費は同9%減と大幅に圧縮した。
事業別売上高では、主要7部門が軒並み減収となった。ドル高による米国外の売上高の目減りに加え、値上げも進まなかった。最大部門の農業事業は主要市場で穀物種子などの需要が落ち込み、1割減収と落ち込んだ。年内に切り離しを予定している高機能化学品も14%減収と落ち込みが厳しかった。
同社は、2015年12月期通期業績への為替のマイナス影響を、1株あたり0.60ドル程度とした1月時点の予想から同0.80ドルに修正した。これに伴い同社は15年の業績見通しについて、特殊要因を除いた1株利益で4.00~4.20ドルとした前回見通しの下限になると説明した。
デュポンのエレン・クルマン最高経営責任者は、為替の逆風に対し、さらなる合理化と付加価値の高い新商品投入の加速で対応する方針を打ち出している。同社は「物言う株主」に委任状争奪戦を仕掛けられており、経営陣は株主の支持取り付けにアピールを強めている。