北海道八雲町のJR函館線で2013年7月、特急北斗のエンジンから出火したトラブルで、運輸安全委員会は23日、燃料制御装置の異常でエンジン部品が破損し、燃料などが漏れたことが原因とする調査報告書を公表した。過去にも同じ形式のエンジンで装置の異常によるトラブルが繰り返し起きていたが、社内で情報が十分に共有されていなかった。
報告書は「異常の重大性に対する認識が不十分で、的確な対策を取らなかったことがトラブル発生につながった」と指摘。再発防止のため、本社と現場の情報共有と原因究明の徹底を求めた。
報告書によると、13年7月6日、ディーゼル車の特急北斗14号(8両編成)が走行中にエンジン稼働を示す表示が消え、緊急停止して点検したところ、4両目の床下のエンジンから出火していた。火はすぐ消し止められたが、4、5両目の車体の一部の塗装が焼損した。乗客約200人は車外に避難し、けが人はいなかった。
燃料制御装置の構造上の問題から装置内の部品に異常な動きが起き、エンジンの回転数を調整する装置が破損。部品がエンジンの外側の覆いを突き破り、燃料と潤滑油が漏れて発火したという。
JR北海道の運転や整備の現場では過去のトラブルから燃料制御装置の異常に気づいていたが、本社に報告を上げず、原因究明や対策が行われないままになっていた。