【ニューヨーク=共同】1841年、遭難中を米捕鯨船に救助され、日本人として初めて米国に移り住んだジョン万次郎(中浜万次郎)とみられる未公開写真が米東部マサチューセッツ州のニューベッドフォード自由公共図書館の保管資料から見つかったことが23日、分かった。
万次郎とみられる男性は、三つぞろえのスーツで帽子を手に持ち、白髪、あごひげの白人男性と一緒。日本帰国後の70年に捕鯨船のホイットフィールド船長宅を再訪し、船長ら知り合いと再会しており、そのうちの誰かと写真を撮った可能性がある。
万次郎の現存写真は少なく、特に船長と一緒の写真は確認されていない。万次郎を通じた日米交流団体幹部の北代淳二さんは「推測の域を出ないが、顔の特徴から万次郎とみている。重要な史料だ」と話している。
写真はモノクロで縦約25センチ、横約20センチ。資料整理を進めていた2013年に見つかった。複写プリントで、経年劣化のため白っぽい。図書館の専門職員、ジャニス・ホドソンさんは「(万次郎との)明確な証拠はない。さらに調査が必要だ」と指摘した。
ジョン万次郎は土佐(高知県)の漁師の子として生まれ、14歳の時に仲間の漁師と一緒に出漁中に遭難。救助されて米国に行き、帰国後に江戸幕府などの要請で操船や英語を教え活躍した。生涯は井伏鱒二の小説にもなった。