文化庁は24日、全国各地の有形無形の文化財を地域やテーマごとにまとめた18件を「日本遺産」として初認定した。歴史的な価値や意義をわかりやすく伝えるストーリー性があり、その魅力を海外にも発信できることを基準とした。地域の観光振興につなげる狙いで、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までに100件程度に増やす予定。
日本遺産に認定された弘道館(23日、水戸市)
今回認定されたのは、水戸藩校だった「旧弘道館」など茨城、栃木、岡山、大分の4県の旧教育施設で構成する「近世日本の教育遺産群」や、京都府の「日本茶800年の歴史散歩」、四国4県の「四国遍路」など。複数の自治体による申請も可能で、計83件の申請から、有識者でつくる審査委員会が選んだ。
文化庁は今年度予算に事業費8億円を計上。今後も年1回ペースで認定する予定で、認定すれば多言語ホームページの作成やガイド育成などの事業費を国が補助する。
「近世日本の教育遺産群」は、旧弘道館のほかに日本最古の高等教育機関とされる「足利学校跡」(栃木)、庶民の学校だった「旧閑谷(しずたに)学校」(岡山)、私塾の「咸宜(かんぎ)園跡」(大分)などで構成。日本の近代化の原動力となった高い教育水準を支えた藩校や私塾の役割を評価した。
京都府宇治市などの「日本茶800年の歴史散歩」は、茶道など日本の喫茶文化の展開を生産・製茶面でリードした歴史と、茶畑の景観の美しさが合わせて評価された。