胃がんの原因になるとされるヘリコバクター・ピロリ菌に含まれる物質が、細胞の遺伝子に変異を起こすことを岡山大のチームが突き止め、23日発表した。がんは正常細胞の遺伝子の突然変異により発生する。変異を誘発する物質を特定し、働きを解明できれば、遺伝子変異を阻める可能性があり、胃がんを防ぐ薬剤の開発につながると期待される。
実験でピロリ菌を水に漬けて抽出した成分をネズミチフス菌に加えると、遺伝子に突然変異が起きた。実験用のヒト細胞に加えた場合も、遺伝子に突然変異が生じた。
また、ピロリ菌成分と特定の発がん物質を加えると、発がん物質だけを加えた場合より、多くの突然変異が起きた。チームはピロリ菌成分が発がん物質の働きを増強するとみている。
ピロリ菌成分は、100度で加熱すると遺伝子変異を起こしにくくなった。有元佐賀恵准教授(医薬品安全性学)は「成分の分析を進め、胃がん発症のメカニズム解明につなげる」と話す。
成果は、海外の科学誌電子版で発表した。〔共同〕