トランスポゾンの働きで、成長が遅く小さくなった変化アサガオ。ゲノム解読で、この突然変異の原因遺伝子も判明した
愛知県岡崎市の基礎生物学研究所などの研究チームは8日、アサガオの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと発表した。サツマイモなどの品種改良に役立つ可能性があるという。研究成果は、同日付の英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載された。
基生研の星野敦助教(45)=分子遺伝学=らは、最先端のDNA解析装置で読み取った膨大な数のDNA配列を計算機で解読。アサガオは約4万3千の遺伝子を持つことがわかったという。
アサガオの原種は青い花。よく知られる白や紫、赤色のアサガオは、栽培が盛んになった江戸時代に突然変異をもとに作られたとされる。動く遺伝子と言われる「トランスポゾン」が、DNAの別の場所に入り、色や形に関わる遺伝子を壊すことで突然変異が起こるという。
今回のゲノム解読で、アサガオは130の遺伝子につき一つの割合でトランスポゾンがあることが判明。この多さが、多様な品種を生んでいるという。
星野助教らは2年前、遺伝子導入で「幻」と言われていた黄色いアサガオの再現に成功した。今回の成果について、「ゲノムが解読されていないサツマイモなど近縁植物の品種改良につながる可能性がある」と話している。(北上田剛)