研究成果について発表する国立がん研究センター研究所の牛島俊和・エピゲノム解析分野長=東京都中央区
胃の粘膜細胞の遺伝子に、特定の化学物質がくっつく「メチル化」という異常の程度を測ることで、胃がんを再発しやすい患者を予測する方法を、国立がん研究センターなどのチームが開発し、21日発表した。メチル化の割合が高い人は、そうでない人より再発リスクが3倍高かった。
胃がんは日本では年約13万人が発症。ピロリ菌感染などで、胃の粘膜細胞の遺伝子変異が起きることに加え、炭素と水素でできた化学物質がくっつく「メチル化」が蓄積し、遺伝子の働きが抑えられることが原因とされる。
研究チームは、早期の胃がんで内視鏡治療を受けた795人で、がん細胞ではない胃の粘膜細胞を取って、三つの遺伝子でメチル化の割合を調べた。
約5年半追跡し、133人が胃がんを再発した。メチル化の程度を4グループに分け、年齢や喫煙などの影響を除いて比べると、最もメチル化が進んだグループは、最も進んでいないグループに比べ、胃がんの再発リスクが3倍高かった。
同じ手法を使い、ピロリ菌を除菌した健康な人で胃がんリスクを予測できる可能性があり、研究チームは2千人を対象にした臨床研究を進めている。
同センター研究所の牛島俊和・エピゲノム解析分野長は「胃がんと同様、炎症が続くことで引き起こされる肝臓がんや大腸がんの一部でも、なりやすい人を予測できる可能性がある」と話している。(川村剛志)