半導体製造装置で世界4位の東京エレクトロンは27日、世界最大手の米アプライドマテリアルズとの経営統合を取りやめると発表した。独占禁止法関連の審査で、両社と米司法省との間に認識の違いがあり、解決のメドがたたないのが理由。両社は統合をテコに、次世代技術の開発や大型投資で先行する戦略だった。日米トップ企業による大型再編は白紙に戻り、戦略の見直しを迫られる。
東京エレクトロンの東哲郎会長兼社長が記者会見し、同日付で経営統合契約の解約でアプライドと合意したことを明らかにした。東会長は具体的な司法省との認識の相違について言及を避けたが、販売中だけでなく、開発中の製品も競争法に抵触しないような改善措置を求められたという。
アプライドと進めている開発面での協力は今後も継続する。東会長は「(他社との)提携も含めて柔軟に考えていく」とした。
両社は2013年9月に経営統合を発表。当初は14年9月に統合する予定だった。スマートフォン(スマホ)の普及で進む半導体の高機能化に対応。開発費の負担を減らし、大型の設備投資で競合他社に先んじる戦略を描いていた。
ただ、米国以外の国・地域でも独禁法関連の審査が難航。統合スケジュールを3回にわたり延期し、直近では今年6月末の統合を目指していた。
経営統合が実現していれば、新会社の半導体製造装置の世界シェアは25%を超え、2位のオランダASML(約16%)を大きく引き離していた。
米インテルや韓国サムスン電子といった半導体大手に対する価格交渉力が高まる警戒感から、一部の半導体メーカーが反発し、独禁当局の審査が進まなかったとの見方もある。