【ナショナルハーバー(米東部)=御調昌邦】日米を含む12カ国政府は26日、ワシントン近郊での環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合を終えた。物品貿易などで一定の進展があったが、懸案の知的財産では隔たりが埋まらなかった。米国以外の交渉参加国は大筋合意前に、米議会が協定の中身を修正できなくなる「貿易促進権限(TPA)法案」の成立を求めており、今後の焦点になりそうだ。
首席交渉官会合は3月中旬以来で、今回は23日から4日間議論した。TPPの法的文書は全体で21分野で29章から構成されているが、少なくとも貿易円滑化や電気通信サービスなど10章は既に作業が終了。このほか実質的交渉を終えた分野も少なくないが、知的財産では難題を抱えている。
知的財産では会合初日の23日に首席交渉官で論点整理などを実施。その後は担当者レベルで少数国の協議などを活用して精力的に協議したが、事態の打開にはつながらなかった。
知財では特に医薬品開発のデータの保護などを巡り、米国と新興国の間で溝が埋まらなかった。世界的な製薬会社を持つ米国は保護期間を長くするように主張しているのに対し、新興国は後発医薬品などをつくりやすくするために5年以下を求めているもようだ。このほかインターネット分野を含む著作権保護や、地域ブランドを保護する「地理的表示」などでも依然として課題を残した。
米国以外の交渉参加国は米議会でのTPA法案の審議状況を注視している。TPA法案が成立しなければ、12カ国で合意しても米議会が内容を修正する恐れがあるためだ。各国は早ければ5月下旬に閣僚会合を開催して大筋合意したい意向だが、それまでにTPA法案が成立していることが条件になりそうだ。