好投した日本代表先発の菅野=諫山卓弥撮影
(1日、野球・壮行試合 日本代表9-1台湾プロ選抜)
侍J、台湾プロ選抜に大勝 壮行試合第2戦は9―1
特集:2017WBC
エースのプライドだった。壮行試合といえども、マウンドへ向かう菅野は力強かった。「ゼロに抑えてみせます」
一回。先頭打者への初球148キロをいきなり中前にはじき返されると、口を真一文字に結んでうなずく。気合が入ったときのいつものしぐさだ。後続にまともにスイングをさせず、三振、二飛、右飛に打ち取った。言葉通りに4回無失点。58球と球数は増えたが結果にこだわった。
チームへの、周囲からの不安の声は膨らむ一方だった。大リーガー投手を招集できず、期待の大谷(日)はけがで出場を断念。そんななか結成されたチームは苦しんだ。前日までの対外試合は2戦2敗。主力を欠いたソフトバンクに零封されて、WBCに出場しない台湾プロ選抜に打ち込まれた。代表選手の一部からも「勝てるかな。大丈夫か」と弱気な声が飛び交った。
WBCは短期決戦。菅野は言う。「大会中『あれをやっておけばよかった』では許されない。最高の状態で臨まないと」。この日、150キロ近い直球で何度も打者の胸元を突いた。その気迫に引っ張られるように救援陣は1失点と粘り、打線も9安打9得点と奮起。
本番まで1週間を切った。「やるしかない」と、大黒柱がその姿勢を示し、このチームで“初勝利”。2日に米アストロズの青木が合流し、全員がそろう。調整は、いよいよ最終段階に入る。(山口裕起)