差し押さえの対象者に誤って事前通知するミスが起きた大阪地裁=大阪市北区
大阪市の医療法人に、着服が疑われる女性職員の財産の仮差し押さえを求められた大阪地裁が、執行前に誤って女性に差し押さえの決定文を送っていたことが17日わかった。抜き打ちが原則だが事前に知られてしまい、法人は差し押さえの結果に影響があった可能性が高いとして、国に賠償を求める訴訟を起こした。
関係者によると、女性は法人が運営するクリニックで受付や経理を担当。2011年1月~13年9月、計約1千万円を着服した疑いがもたれていた。このため法人は被害金回収を目的に、大阪地裁に動産の仮差し押さえを申請し、地裁は14年7月、決定した。
ところが、大阪地裁の担当者が執行後に送る決定文を誤って送付。2日後に大阪市の女性宅を訪問したが不在で執行できなかった。結局、8日後に女性の母親を立ち会わせて行い、バッグや腕時計など約60点を差し押さえたという。
執行後、法人が決定文の送付を求めたところ、すでに送っていたためミスが発覚。地裁は法人に「二度と同様の事態が生じないよう、事務処理に万全を期す」と文書で謝罪した。
地裁は取材に対し、事実関係を認めたうえで「関係訴訟の進行にかかわるのでコメントは差し控える」としている。(阿部峻介)