【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)は29日発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、事実上のゼロ金利政策を維持するとともに、焦点の利上げ時期ついて、雇用に「さらなる改善がみられた時」と表現するにとどめた。6月に開く次回FOMCの対応には触れなかった。6月利上げの可能性自体は排除しなかったが、米雇用と景気の先行きに不安が広がっている実情を踏まえ、慎重に今後の経済動向を見守る姿勢を強めているとみられる。
今回の決定は全会一致。足元の米経済活動について声明は「一部は一時的な要因を反映し、冬季に減速した」と判断を弱めた。FOMC終了に先立って29日朝発表された2015年1~3月期の米実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率0.2%に急減速したことを踏まえた。
雇用も「新規雇用のペースが緩やか」「幅広い指標から判断し労働資源の未活用はあまり変化していない」などと減速を示す表現が並んだ。
利上げを巡ってはインフレや労働市場、国際金融市場の状況などを勘案して時期を判断するとした前回の声明を踏襲。そのうえで雇用の「さらなる改善」と、インフレ率が上昇するという「合理的確信」が得られた時点で利上げが適切との見解を示した。
FOMCは1月の会合で利上げを「忍耐強く待つ」との表現を据え置いた一方で「相当な期間」を削除した。さらに3月の会合では、4月会合での利上げについて「可能性が低い」と明記し、最速でも利上げは6月会合以降との方針を打ち出していた。