全国の保育所で2004~14年に起きた事故で、少なくとも163人の子供が死亡したことが、厚生労働省のまとめで7日までに分かった。年齢別では0歳児が半数を占め、認可外保育施設での事故が約7割に上った。子供が睡眠中のケースが多かった。
認可外の施設数は認可保育所の約3分の1だが、事故件数の突出ぶりが目立つ。これまでは事故報告は義務付けられておらず、自主的な報告を国が集計。死因や発生状況の分析は進んでいない。
国は保育の受け皿拡充に向け4月から始めた「子ども・子育て支援新制度」で、新たに保育中の死亡、重傷事故を自治体に報告するよう義務付けた。ただ認可外には法的拘束力はなく、事故の検証方法も決まっていないなど、子供の安全確保に向けた課題が残る。
厚労省のまとめでは、記録が残る04~14年の11年間に、自治体を通じて報告があった保育中の死亡事故は計160件。このうち06年には埼玉県川口市で子供の列に車が突っ込み、4人が死亡した。
亡くなった163人の施設別内訳は、認可保育所が50人、認可外が113人。年齢別では0歳児が83人だった。同省は自治体や施設に再三にわたり事故防止を呼び掛けてきたが、毎年十数人が亡くなり、事故の減少にはつながっていない。
比較的詳細な死因別のデータがあるのは13~14年のみ。亡くなった36人のうち病死が7人、乳幼児突然死症候群(SIDS)と窒息がいずれも3人で、死因不明が22人に上った。睡眠中に亡くなったのは、この2年間で計27人(うつぶせの状態で発見は13人)おり、うち認可外が21人だった。
国は4月から新制度に移行した保育所や幼稚園、認定こども園に対し、市区町村への事故報告を義務付けた。再発防止策の一つとして、報告を基に発生状況などをデータベース化し、情報を随時公表する。認可外保育所や一時預かり事業などにも報告を求めるとしているが、法的な義務はない。事故の検証方法については、今秋をめどに結論をまとめる予定だ。〔共同〕