昨年9~10月に全国の医療機関で治療を受けた薬物乱用患者の34%が過去1年間に主に危険ドラッグを使用し、覚醒剤など他の薬物を上回って最多を占めたとの調査結果を厚生労働省研究班が7日までにまとめた。
研究班は精神科病床がある医療機関1598施設に協力を要請、昨年9~10月に薬物依存症などで治療を受けた患者の有無や使用薬物の種類などを調べた。200以上の施設から1579人分の患者データが集まった。
過去1年間に乱用経験があり「主に使用していた薬物がある」と回答した1019人について、薬物の種類を分析したところ、危険ドラッグが34.8%と最多を占めた。覚醒剤は27.4%、医薬品(睡眠薬と抗不安薬)は16.9%だった。
さらに1579人全体について過去に使用経験のある薬物を複数回答で集計。2012年実施の同種調査と比べると、覚醒剤が63.3%から60.9%と減少する一方、危険ドラッグは27.5%から31.2%に増えた。
研究を実施した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦薬物依存研究部長は危険ドラッグの取り締まりで新たな乱用者は減っているとの見方を示した。依存症患者への対応に関しては「薬物への欲求を低減させる専門プログラムを普及させたり、自助グループへの参加を促したりと、患者が乱用を断ち切るための方策を充実させるべきだ」と指摘している。〔共同〕