産業技術総合研究所は7日、国内外の優秀な人材を集めて最先端の人工知能を研究する「人工知能研究センター」を設立したと発表した。東京都内と茨城県つくば市に拠点を設け、約80人体制で活動を始めた。自動運転車やロボットなどに導入する人工知能を巡っては世界で開発競争が激しくなっている。新センターが大学や企業などの連携を促す中核拠点の役割を担い、産業に役立つ日本発の技術を育てる。
人工知能研究センターは1日付で産総研の臨海副都心センター(東京・江東)とつくばセンター(つくば市)の2カ所に開設した。産総研のほか、大学、企業の研究者らが兼務し、今年度中に100人体制にする。
人間の脳のように自ら知識を生む「脳型」と、大量のデータから知識を探る「データ・知識融合型」の人工知能を軸に研究する。人の言葉を理解する自然言語処理や、周囲の状況を判断する音声・画像認識などの基盤技術を産学官が共同で開発する。
応用先は、滑らかに動く産業用ロボットや自動運転車の性能向上、医療診断などさまざまな分野が想定される。高度な知識が必要なインフラ管理や金融分野の業務などへの応用も目標の一つだ。研究成果を元に起業を促したり、企業に技術移転したりして早期の実用化を目指す。
日本は個々の人工知能の研究水準は高いが、実用化は米国がリードしている。産総研が中核となり様々な要素技術を統合させて、日本の産業競争力の向上に役立てる考えだ。