毛繕いをするボノボ。右側のボノボは指と目の間が離れている=京都大霊長類研究所の柳興鎮さん提供
人間に最も近い類人猿とされるボノボが40歳前後になると老眼になることを、京都大霊長類研究所などのチームが明らかにした。老眼が進む速度は人間とほぼ同じだった。8日、米科学誌カレントバイオロジーに発表した。
特集:どうぶつ新聞
同研究所博士課程の柳興鎮(りゅうふんじん)さんらはアフリカ・コンゴ民主共和国に生息する11~45歳の野生ボノボ14頭について、毛繕いをする際の目と指の間の距離をデジタルカメラなどを使って測定した。
その結果、40歳未満の9頭は7~14センチに収まり、加齢とともに少しずつしか距離が伸びなかったが、40歳以上の5頭は伸びて45歳では42・8センチだった。雄と雌で差はなかった。
老眼は加齢に伴い目のピントを調整する仕組みが衰えて起こる。人間も40歳前後から老眼が進み、焦点を合わせるのに必要な距離が伸びるが、ボノボと人間の伸び方のパターンがほぼ同じだった。柳さんは「人間とボノボの目の老化に大きな差がないことが分かった。読み書きなどの目と近い距離での作業とは関連がなく、老眼が自然な老化の過程であることを示している」と話す。
人間ではスマホの見過ぎなどで老眼に似た現象が起こる「スマホ老眼」が問題になっているが、これは老化とは関係なく、眼精疲労が原因とされる。(西川迅)