小規模な噴火が発生する恐れがあるとして、気象庁が箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベルを「2」(火口周辺規制)に引き上げたことを受け、神奈川県は7日、緊急対策会議を開催した。黒岩祐治知事は会議で「安全は第一だが、風評被害も抑えていかなくてはならない」と強調。正確な情報発信を強めるため、統括責任者を設ける意向を示した。
箱根町も同日、箱根温泉旅館協同組合と今後の対応を協議した。町はホームページ上で規制エリアの地図を示すとともに、大涌谷以外の観光にはほとんど影響がないことを強調する「観光客の皆様へ」と題する文書を掲示した。
気象庁によると、箱根山では7日午前0時~午後3時に10回の火山性地震を観測。116回を観測した5日と比べると6日以降減少しているが、同庁は「火山性地震は多い状態が続いている。火山活動が終息に向かっていると判断できる段階ではない」としている。
気象庁は6日朝、マグマで熱せられた地下水が噴き出す「水蒸気爆発」が起こる可能性があるとして、箱根山の大涌谷周辺に火口周辺警報を発表。噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた。
これを受け、箱根町は6日、大涌谷周辺の半径300メートルに避難指示を出した。大涌谷に向かう県道は通行止めになり、ロープウエーも全線運休するなどしている。
一方で「立ち入りが制限されるのはごく一部の地域なのにあたかも箱根全体が危ないようなイメージになっている」(県災害対策課)と、観光業などの風評被害を懸念する声も上がっている。