大阪市と陸上自衛隊などは9日午前、大阪市浪速区日本橋西1の工事現場で見つかった不発弾の撤去作業をした。現場は大阪・ミナミの中心部。南海電鉄難波駅南側の半径300メートル以内が立ち入り禁止になり、商業施設が休業、電車も一時運休した。市は付近の約1600世帯、約2200人に避難を要請し、小学校2校などに計約130人が集まった。
大阪市の中心部で9日午前、不発弾処理のため大規模な交通規制が行われた。人通りが絶えた堺筋
不発弾は3月16日、マンション新築工事現場で見つかった米国製の1トン爆弾で、長さ1.8メートル、直径60センチ。太平洋戦争末期の空襲で投下されたとみられる。撤去作業は9日午前8時から始まり、陸自の不発弾処理隊が約1時間半かけて信管を取り除いた。
避難区域には商業施設が集中しており、大型施設の「なんばパークス」や「なんばCITY南館」などが営業開始時刻を同日午後に遅らせた。
不発弾が見つかったことについて、近くで生まれ育った会社役員、牧晴一さん(86)は「まさかこんな近くにまだ爆弾があるとは」と驚いた様子。戦時中は広島の商船学校で過ごし、終戦後に帰って来ると「周囲は何もない焼け野原だった」という。「街も自分も再出発してここまで来た」と話し、戦後70年の歳月をかみしめていた。
避難所に移動した坂本隆司さん(46)は「作業中は自宅マンションに出入りできず不便だ」と話した。無事に撤去が完了し、塗装業、奥野文雄さん(78)は「思ったより早く終わりほっとした。駅前の人通りもいつものように増えてきて良かった」と安堵していた。
南海難波駅に大きな混乱はなかったが、関西国際空港へ向かおうとして戸惑う外国人観光客らの姿も見られた。
不発弾は各地で見つかっており、防衛省によると2013年には1560件、57.1トンを処理。近畿や東海、中四国の処理を担う陸上自衛隊中部方面隊は「月に1度のペースで不発弾処理に出動している」(中部方面総監部広報室)という。