噴火警戒レベルが引き上げられた箱根山・大涌谷の地元の神奈川県箱根町観光協会が外国人観光客向けの情報発信に力を入れている。東日本大震災後に落ち込んだ外国人宿泊客はここ数年大幅に増えており、協会は立ち入り規制区域を示した英語の地図を初めて作製。一方で、他の地区の安全性をアピールし、風評被害を防ごうと懸命だ。
箱根湯本駅構内と駅前の総合観光案内所に8日、地図が張り出された。「Off Limit Area No Entry」。大涌谷の半径約300メートルの避難指示区域が小さな赤い円で示され、立ち入り規制と英語で説明が書かれている。「宿泊施設やレストランは通常営業している」と英語で呼び掛ける紙も併せて張り出された。
気象庁が噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた6日、観光協会は誘客宣伝委員会を急きょ招集、対策を練っていた。協会の譲原清彦事務局長(62)は「今後、中国語と韓国語の地図も作る。危険な区域は町内のごく一部。安全な観光施設がいっぱいあるとアピールしたい」と話す。
町によると、外国人宿泊客は震災が起きた2011年、前年の約47.3%に当たる約6万3千人に落ち込んだ。しかし12年は約9万3千人、13年は約16万8千人と年々増加。富士山を望む景観や温泉が人気という。
箱根湯本駅前の土産物店が並ぶ通りを歩いていたカナダ人夫婦は「英語のハザードマップやスマートフォンのアプリが必要」と噴火に備えた外国人向けの対策はまだ不足していると指摘する。
フランスから訪れたミレヌ・ビヤンドさん(32)、アレクシス・アレさん(31)のカップルは「ロープウエーが運転を見合わせていて事態を知った。リスクは分かるが、それほど危険とは感じていない。箱根は温泉や美術館があり、すてきな所だ」と話した。〔共同〕