厚生労働省は11日の規制改革会議の作業部会で、薬局を病院の外に置く建物規制について「高齢者や車いすの患者が移動するのは大変なので、何らかの配慮を検討したい」と一部を見直す方針を明らかにした。規制改革会議の委員は患者の利便性を高めるために、病院内の薬局を認めるように求めていた。
規制改革会議は6月にまとめる答申で、建物規制の緩和を目玉の一つにしたい考え。厚労省はこれまで、建物や敷地を分けなければ薬局の独立性が保てなくなり、医師による過剰な投薬へのチェックが難しくなるとしていた。薬局の経営の独立性が確認できる場合などに限って規制を緩める見通しだ。
このほか厚労省は患者の薬の情報を一元的に管理する「かかりつけ薬局」について、2016年度の診療報酬改定で「より評価する方向で考えていきたい」と述べ、普及を促す姿勢を示した。
かかりつけ薬局が浸透すれば、患者は異なる医師から同じ薬を処方されることが減り、過剰な投薬が減るとされている。患者の安全の確保にも寄与するとの見方がある。規制改革会議からは普及を後押しするよう求める指摘が出ていた。
診療報酬は病院や薬局が保険診療で受け取る公定価格。かかりつけ薬局への報酬を加算するには財源が必要になり、議論が難航する可能性もある。