【ドバイ=久門武史】サウジアラビアのサルマン国王は、同国など湾岸協力会議(GCC)の6カ国と米国が13、14両日にワシントンなどで開く首脳会談を欠席する。サウジは対立するイランの影響力拡大を懸念し、イラン核問題で同国に接近する米国をけん制。国王の首脳会談欠席は、オバマ米政権とのぎくしゃくした関係を改めて浮き彫りにした。
サウジのジュベイル外相は10日、国王に代わりムハンマド皇太子が代表団を率いると発表した。国王欠席の理由として、サウジなどが軍事介入するイエメンでの停戦開始や、同国の人道危機に対処するための人道支援センターの設立と重なるためと説明した。
米側は当初、オバマ米大統領と国王が13日にホワイトハウスで会談すると発表していた。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、国王欠席の背景に、イランとの対話を重視するオバマ政権への「不満」があると報じた。
米欧など6カ国とイランは、核問題の包括解決に向け6月末の最終合意を目標に協議を重ねている。4月にはイランの核開発を10年以上制限し、見返りに経済制裁を解く枠組みで合意に達した。
核協議が最終的に決着すれば、イランは孤立を脱し一段と存在感を強めそうだ。スンニ派のサウジなど湾岸アラブ諸国は、隣国イエメンのシーア派武装組織「フーシ」を支援しているのはイランだと批判し、3月にアラブ首長国連邦(UAE)などとともにフーシへの空爆に踏み切った。
サウジは内戦が泥沼化するシリアでも、アサド政権を支援するイランに神経をとがらせる。2013年にシリアへの軍事介入を土壇場で見送ったオバマ政権にはかねて不満を抱き、関与強化を求めている。
国王は11日、オバマ米大統領に電話し、13日からの訪米を残念ながら欠席すると伝え、一定の配慮を示した。両首脳は中東地域が直面する課題についてGCC諸国と緊密に協力して取り組む必要があることで合意した。
イランの核問題について、包括解決に向けた最終合意の重要性についても議論した。オバマ氏はサウジが戦闘が続くイエメンで人道目的の5日間の停戦を発表したことを歓迎し、緊急の人道支援が必要との認識で一致した。