【サンパウロ=宮本英威】キューバを訪問中のフランスのオランド大統領は11日、首都ハバナの革命宮殿で、ラウル・カストロ国家評議会議長と会談した。仏大統領のキューバ訪問は初めて。キューバ共産党機関紙グランマによると、両首脳による会談は「非常に建設的だった」という。
フランスはキューバの段階的な経済開放を見据え、企業の関与拡大を狙う。今回の訪問には大手企業の幹部が同行した。航空大手エールフランスKLM、ホテルチェーン大手アコール、蒸留酒大手ペルノ・リカールなどで、観光分野での事業拡大を模索する企業が目立つ。
オランド氏は会談に先立って同日、ハバナ大学で講演して「キューバの発展を阻害してきた施策が終わることを望む」と述べた。米国による経済封鎖の一段の解除への期待を示した格好だ。
フランスは経済関係の強化を目指す一方で、米国と同様、人権状況の改善を求めていく方針だ。オランド氏は「政治犯が収容され、自由が侵されていれば、フランスは(そのことについて)口を閉ざすことはできない」と述べている。
オランド氏は10日夜にキューバ入りし、11日にはフィデル・カストロ前国家評議会議長とも会談した。昨年12月にキューバと米国が国交正常化の方針を示して以降、キューバを訪問した欧米で初の首脳となった。