国土交通省は21日、今後10年を目安とした長期的な国づくりの指針となる国土形成計画の改定に向けた素案をまとめた。人口減少が進むなかで街の機能を維持するため、地方都市で市街地に行政や商業、住居といった機能を集約する「コンパクトシティ」を推進することなどを盛り込んだ。
自民党の国土交通部会で示した。同省は今後、国土審議会の計画部会で最終報告を取りまとめ、夏に新たな国土形成計画の閣議決定を目指す。
東京・名古屋・大阪の三大都市圏では、将来のリニア中央新幹線の開業を視野に、それぞれの特色を一体化させる「スーパー・メガリージョン」の形成を打ち出した。世界からヒト・モノ・カネなどを引き付ける魅力ある大都市圏をめざす。
観光立国をめざした施策も進める。政府は東京夏季五輪がある2020年に訪日客2000万人の達成を目標としている。20年を大きな通過点とした長期視点に立ち、地方を含めた広域観光ルートの整備などを進める。
急激な人口減少と高齢化が進む中で、国際競争力のある観光地づくりと地方移住の促進を通じて地方の活力を維持する。都市から地方への移住に加え、都市と地方の双方に拠点を持つ「2地域居住」を促す。
国土形成計画は、国土形成計画法に基づき、都市・農山漁村政策の方向性を示す国の長期指針。かつての「全国総合開発計画」(全総)に代わり、08年に現行計画が閣議決定された。