内閣府が8日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除く実質で前期比1.0%増と、速報値から0.4ポイント高くなった。年率換算では3.9%増と、1.5ポイントの大幅な上方修正となった。速報に比べ企業の設備投資額が大きく伸びた。生活実感に近いとされる名目は前期比2.3%増、年率換算で9.4%増と、バブル期以来の高水準となった。
民間予測(年率2.7%増、QUICKまとめ)を大きく上回り、2014年1~3月期(年率4.4%増)以来の高い伸びとなった。大きな要因は企業の設備投資だ。速報段階では未公表だった1~3月期の法人企業統計を改定値で反映した結果、前期比2.7%増と速報値に比べ2.3ポイント高くなった。特に増えたのが卸・小売業や電気業、サービス業など非製造業。物流センターやホテルへの投資が増えている。国内の消費回復の兆しを反映しているようだ。
民間在庫投資のGDP伸び率への寄与度は速報値に比べ0.1ポイント高いプラス0.6%となった。
1~3月の速報値から公表している内訳をみると速報段階でマイナスだった原材料の在庫が増加に転じた。「増産をにらんだ前向きな積み増しだったようだ」(みずほ総合研究所の徳田秀信主任エコノミスト)。卸・小売業の流通在庫の減少幅は小さくなり、いずれも押し上げ要因となった。
事前予測では在庫の減り幅は拡大し、GDPの押し下げ要因になるとみられていた。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「自動車などの在庫の高止まりは気がかりだが、全体では解消に向かっており悪い傾向ではない」とみている。
民間住宅は1.7%増、公共投資は1.5%減とそれぞれ0.1ポイント下方修正となった。個人消費は0.4%増、輸出は2.4%増、輸入は2.9%増で、それぞれ速報値と同じだった。
物価変動の影響を加え、生活実感に近いとされる名目GDPは前期比2.3%増と、速報値より0.4ポイント高かった。年率では1.7ポイント高い9.4%増と、1990年4~6月期の年率15.7%増以来の水準となった。原油安で輸入額が小さくなり、GDPの押し上げ方向に働いた。
2014年度は実質で前年度比0.9%減。0.1ポイントの上方修正となったが、09年度以来のマイナス成長となった。年度を通してみると、消費増税による落ち込みが大きかった。