実際は起こしていない訴訟を進展しているよう装うため、虚偽の判決文などを示し、着手金や顧問料計約1700万円をだまし取ったとして、大阪府内の建設会社が大阪弁護士会所属の男性弁護士に損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが11日、分かった。同地裁は判決文が偽造された可能性もあるとして捜査機関に相談している。
同地裁で同日、第1回口頭弁論が開かれたが、弁護士は出廷せず、答弁書で請求棄却を求めた。
訴状によると、建設会社や同社社長は男性弁護士に損害賠償請求訴訟や遺言の無効確認訴訟など5件の訴訟の代理人を依頼。2005年4月~10年3月に着手金や顧問料として計1700万円を支払った。
男性弁護士は訴訟の進展状況を尋ねる社長に「順調に進展している」と回答。同地裁や同地裁堺支部などが出したとする判決文や決定文を示した。
男性弁護士の対応に不信感を抱いた社長は今年4月、別の弁護士に調査を依頼し、実際には訴訟が起こされていなかったことが判明した。建設会社側は「提訴したと見せかけるため、裁判書類を偽造して社長に示した」と主張している。