両親による組み体操提訴会見
東京都世田谷区の区立小学校で組み体操の練習中に転倒し、激しい頭痛などの後遺症が残ったとして、区内に住む中学2年の男子生徒(14)が28日、約2千万円の損害賠償を当時の担任や区に求め、東京地裁に提訴した。
訴状によると、生徒は2014年4月、運動会に向けて2人組で倒立の練習をして転倒。マットが敷かれていなかったために生徒は体育館の床に頭をぶつけたという。その後、生徒は激しい頭痛や吐き気、ふらつきなどの症状が出るようになり、約4カ月後に脊髄(せきずい)を守る膜が傷ついて髄液が漏れる「脳脊髄液減少症」と診断された。
生徒側は、担任が床にマットを敷くなどの安全措置をせず、練習不足のまま倒立をさせたと指摘。体格差のある児童同士でペアを組ませるなどしており、「担任が練習を間近で見て、安全に注意する義務を怠った」と訴えた。
生徒はいまも激しい頭痛に悩まされ、学校の授業を休みがちになるなど、日常生活に支障が出ているという。提訴後に記者会見した母親の定松啓子さん(46)は「いつ治るのかわからない不安を抱え、息子や家族の生活が一変した。ちゃんとした指導が行われていたのか、本当のことを知りたい」と話した。
世田谷区は提訴について「訴状が届いていないので、コメントすることはできない」としている。
日本スポーツ振興センターの調べによると、組み体操による事故は11~14年度に年8千件を超える。
14年度に起きた8592件のうち、大勢で行うタワーが14・4%、ピラミッドが13・2%。2人で組む倒立は13・6%だった。
スポーツ庁は昨年3月、組み体操について安全確保を求める通知を出した。(塩入彩)