2015年に国会で共産党が提示した統合幕僚長と米軍幹部の会談議事録とされる文書を巡り、現役自衛官が17日、文書を漏洩(ろうえい)したと疑われて違法な捜査を受けたなどとして、国に慰謝料500万円を求めてさいたま地裁に提訴した。
訴えたのは、埼玉県に住む防衛省情報本部の大貫修平3等陸佐(42)。
文書は15年9月、共産党の参院議員が、河野克俊統合幕僚長が14年に訪米した際の米軍幹部との会談議事録だとして提示。新型輸送機オスプレイについて、河野氏が「不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ」と語ったなどと記されていた。安倍晋三首相はその後「示された資料と同一のものの存在は確認できなかった」と答弁した。
訴状によると、防衛省は大貫さんが文書を流出させたとして、休息を取らせずに約3時間、ポリグラフ検査を行い、約5時間にわたって自白を強要したと原告側は主張。機密に関わる部署から、行事準備の資料作成などを行う部署に異動させられたとしている。
会見した大貫さんは「漏洩はしていない」と述べ、代理人弁護士は「存在しない文書を漏洩することはできない。嫌疑がないのに違法捜査をした」と述べた。防衛省は「訴状が送達されていないため、コメントは控える」としている。(小笠原一樹)