架空の社債取引を装って現金をだまし取ったなどとして、警視庁など18都府県警の合同捜査本部は17日までに、住所不詳、無職、大野春水容疑者(27)や金宣秀容疑者(38)=東京都新宿区大久保1=ら男女40人を詐欺や詐欺未遂の疑いで逮捕した。嘘の電話で現金をだまし取る特殊詐欺事件で一度に逮捕された人数としては過去最多とみられる。
警視庁捜査2課によると、大野容疑者らのグループによる被害は昨年1月以降で全国の高齢者ら約60人、総額約20億円に上るとみられる。大野、金両容疑者らは容疑を否認、黙秘するなどしているという。
逮捕容疑は昨年11~12月、奈良県内のパート女性(72)に電話で架空の会社の社債購入を持ちかけ、高値で買い取ると信じ込ませて500万円を詐取するなどした疑い。
警視庁などは今月16日に東京都台東区のマンションや新宿区のオフィスビルなどアジト4カ所を家宅捜索した。大野、金両容疑者がグループの統括や詐取金の分配を担い、ほか38人は嘘の電話をかける「かけ子」役だったとみられる。
同課によると、グループは架空の太陽光発電会社のパンフレットを高齢者らに送付。その上で証券会社の社員などを名乗って電話して社債の購入を持ちかけ、「高値で買い取る」と嘘を言い、現金を送らせるなどしていた。