【スース(チュニジア)=共同】パラソルに自動小銃を隠してビーチにやって来た襲撃犯の男は、多くのチュニジア人には目もくれず、水着姿の欧米人に銃を乱射した。30人以上が犠牲となったホテル襲撃テロから一夜明けた27日、現場の目撃者らが恐怖の瞬間を振り返った。
銃乱射テロの現場に花を手向ける女性(27日、チュニジア・スース)=AP
「明らかに欧米人を狙っているようだった」。現場にいた会社員のファイサルさん(28)は「私はチュニジア人だから助かっただけ」と言葉を絞り出した。
襲撃犯はビーチで乱射後にホテルのプールに侵入。「何をしてるんだ」と叫ぶ人たちに「おまえらには関係ない」と叫び返したという。
近くの自宅で銃声を聞いたという女性(40)は「あんなのはイスラム教徒ではない。チュニジアは平和な国。犠牲者に申し訳ない」と話した。
英メディアなどによると、英国人女性のサラ・ウィルソンさんが男の叫び声で異変に気付いた時には銃の乱射が始まっていたという。とっさに身を盾にしてかばってくれた婚約者は肩や胸にけがを負った。
「逃げろ」。婚約者の声に押されるようにホテルに逃げた。自身は無事だったが婚約者は重体。「早く一緒にここから出たい」。駆け付けた病院で祈るように話した。