北海道小樽市で昨年7月、女性3人が死亡、1人が重傷を負った飲酒ひき逃げ事件で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた札幌市西区の元飲食店従業員で無職、海津雅英被告(32)は29日、札幌地裁(佐伯恒治裁判長)の裁判員裁判初公判で危険運転致死傷の起訴内容を否認、道交法違反(ひき逃げ)の罪は認めた。
海津被告は罪状認否の中で「アルコールの影響による事故は起こしていません」と供述。弁護側も「脇見運転が事故原因であり、危険運転には当たらない」と主張した。
冒頭陳述で検察側は、被告が事故当日の早朝、現場近くの海岸に到着するや飲酒を始め、知人の海の家の手伝いがまともにできないほどだったと指摘。「現場は見通しがよく、正常なら4人を認識できた」と強調した。
被告は逃走後、自ら110番。当初は警察官に「はねたのは1人」と説明し、事故状況を正確に認識できていなかったことも明らかにした。
弁護側は被告が事故当時、スマートフォンを見ながら運転していたと説明。「酒は当日午前中しか飲んでいない」とも述べ、事故と飲酒に因果関係はないと訴えた。
起訴状などによると、海津被告は2014年7月13日午後4時半ごろ、酒の影響で前方注視が困難な状態でRVを運転。海水浴帰りで市道を歩いていた女性4人をはね、うち3人を死亡させ、1人に重傷を負わせた。
死亡したのは札幌市の医療機関事務員、石崎里枝さん(当時29)、北海道岩見沢市の会社員、原野沙耶佳さん(当時29)、同市のスーパー店員、瓦裕子さん(当時30)。
検察側は危険運転致死傷罪が認定されない場合に備え、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と道交法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)の罪を「予備的訴因」とした。〔共同〕