【ロンドン=小滝麻理子】英国ロンドンのサザーク刑事法院は3日、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作事件の中心人物とされ詐欺など8つの罪に問われた元トレーダーのトム・ヘイズ被告(35)に対して14年の禁錮刑を言い渡した。世界を揺るがした一連のLIBORを巡る金融不祥事で、有罪判決が出るのは初めて。経済犯としては極めて重い判決内容にも注目が集まりそうだ。
判決文では「今回の裁判は銀行が本来持つべき誠実さの欠如を表している」と指摘し、ヘイズ被告を厳しく非難。ほかのトレーダーらと共謀してLIBORの指標を操作し、自らの取引で不当に利益を得ようとしていた実態を「不誠実で間違っている」と断罪した。
ヘイズ被告は2006年から10年にかけて、スイスの大手銀行UBSや米シティグループの東京法人でトレーダーとして活躍し、多額の収益を上げていた。
裁判官はヘイズ被告は「不正操作の中心人物で、ハブとして機能していた」と認定。ヘイズ被告を中心として、ほかのトレーダーらが共謀し、不当に日々の指標を動かしていたとした。
ヘイズ被告は英重大不正取締局(SFO)により嫌疑をかけられ、LIBOR操作を共謀した疑いで8つの訴因で起訴されていた。ヘイズ被告は無罪を主張していたが、今回すべての訴因で有罪となった。
LIBORを巡っては12年に欧米の金融機関が算出時に申告金利を偽り不当に収益を上げようとしていたことが発覚。これまで英バークレイズやドイツ銀行など大手行が相次ぎ巨額の罰金や制裁金を各国の当局に支払っている。