企業から各地の暴力追放運動推進(暴追)センターや警察に寄せられた暴力団関係の相談が2010年から14年にかけて倍増したことが5日、全国暴追センターへの取材で分かった。専門家は「暴力団排除条例の影響で、企業の意識が高まったことが背景にある」と分析している。
国内最大の暴力団山口組の分裂問題に注目が集まる中、反社会的勢力との関係を断ち切る企業の動きが今後も強まることが予想される。
同センターによると、取引先が反社会的勢力かどうかを確認する相談が多く、10年に2万147件だった相談件数は、14年は4万183件と2倍に。職種別でみると金融や建設、不動産関連企業からの相談が目立つ。
福岡県で10年に暴排条例が施行され、11年秋までに全都道府県で同様の条例が施行。13年には、大手銀行が系列信販会社を通じた暴力団関係者らへの融資を放置していた問題が発覚した。金融関係者は「企業に向けられる目は以前より厳しくなった」と打ち明ける。
コンサルティング会社「エス・ピー・ネットワーク」の芳賀恒人主席研究員は「山口組の分裂問題の影響で、資金獲得のため企業へのアプローチが増える恐れがある。社内教育に力を入れるなど対策の質を磨く必要がある」としている。〔共同〕