上方落語協会の桂文枝前会長
桂歌丸さんの死去を受け、上方落語協会前会長の桂文枝さんがコメントを出した。
「やめてください」叫んだ歌丸、高座でまさか…踊り出す
特集:桂歌丸さん死去
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歌丸師匠の訃報は信じ難いものがありました。何度も入退院を繰り返され、もう今度ばかりは、、、と、いうような噂も飛び交いましたが、師匠は常に不死鳥のように蘇ってこられましたから、この度の入院後も、また高座に復帰されると信じておりましたので、残念でなりません。
いつからか幕を下ろしてスタンバイされるように。師匠はとても不本意に思っておられました。噺家なら出囃子にのって出て行きたいと。酸素ボンベを担いででもと思っても、重たいんだよと。苦笑いを浮かべながらおっしゃって。どんなに辛い時でも、周りに気を使わせまいと笑いにして下さいました。
何度も私の独演会を助けていただきました。必ず師匠は約束を違えず来てくださいました。最後の最後まで現役であり続けた師匠。酸素ボンベを後ろに置いてまで落語を演じた噺家は後にも先にも師匠しか知りません。
まるで芸の戦士のように。しかも、最後まではっきり、しっかりとした口調で、芸人の最期はいろいろあろうかと思いますが、誰も真似のできない、不屈の精神、見事な噺家人生であり、我々にお手本を示していただきました。
私にとっては、公私にわたって力になっていただいて、心より感謝いたしております。ありがとうございました。
師匠に出逢えたことが、私には宝物です。ここに哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。合掌。