自民党総裁選は8日午前、告示され、安倍晋三首相(党総裁)以外に立候補の届け出がなく、首相の無投票再選が決まった。立候補を模索していた野田聖子前総務会長は必要な国会議員20人の推薦人を集められず、出馬断念を表明した。無投票の再選は2001年の小泉純一郎首相の再選以来14年ぶり。
自民党総裁選出陣式で気勢を上げる安倍首相(8日午前、東京・永田町)
総裁任期は3年間で、首相の新たな任期は18年9月末まで。首相は27日までの今国会で安全保障関連法案の成立に全力を挙げるとともに、10月には党役員人事と内閣改造に踏み切る方針。新たな任期では憲法改正やデフレ脱却などが引き続き課題になる。
首相の陣営は河村建夫元官房長官が8日午前8時ごろ、党本部に立候補を届け出た。届け出時間を締め切った午前8時半までに首相以外の候補者からの届け出はなかった。近く開かれる両院議員総会で首相の再選が報告される。
首相陣営はこれらに先立ち、都内のホテルで出陣式を開き、結束を確認した。首相は出陣式で「しっかりと政策を進め、今後も国民のために全力を尽くしたい」と力説。「デフレから脱却し、未来に向けて力強く経済を成長させていくのが使命だ」と強調した。首相の推薦人名簿は全7派閥だけでなく無派閥からも推薦人を集め、挙党態勢をアピールした。
自民党総裁選を巡っては、党内最大派閥の細田派、第2派閥の額賀派など全7派閥が首相を支持する方針を相次ぎ決定。再選は確実な情勢で、選挙戦になるかどうかが焦点だった。
首相官邸は来週をめざす安保法案の採決への影響を避けるため、無投票再選を探っていた。野田氏は選挙戦をすべきだと主張し、無派閥議員を中心に推薦人集めに腐心したが、必要な20人を満たすことはできなかった。野田氏は国会内で記者会見し「自由闊達な議論ができる総裁選を実現したいとの思いを強くし、全身全霊で取りくんできた。すべて私の力不足だ」と述べた。
前回12年の総裁選で首相に敗れた石破茂地方創生相は出馬を見送った。
安倍晋三氏(あべ・しんぞう) 成蹊大卒。父・安倍晋太郎元外相の秘書を経て93年衆院初当選。党幹事長、官房長官、06年首相就任。07年退陣後、12年に首相返り咲き。衆院山口4区、当選8回、無派閥。山口県出身、60歳