三菱重工業は下関造船所(山口県下関市)にある航空機工場の建物拡張工事を完成させた。米ボーイングの中型機「787」の主翼内の骨組みとなる補強部材を増産する。拡張部分は一部生産設備を設置済みで今後、残る設備を導入したうえで来年1月に稼働させる。従来の1ライン体制が2ライン体制になり、生産能力は4割増える。投資額は設備も含め38億円。
ボーイングが787の生産機数を現行の月産10機から14機に増やすのに対応する。下関造船所の航空機工場は拡張により延べ床面積が4000平方メートル増え、1万3000平方メートルになった。生産するのは炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材のストリンガー(縦通材)という骨組みだ。
複合材を積層して高温高圧で焼き固める「オートクレーブ」を追加で導入し、2台体制とした。今回設置したオートクレーブは全長が29メートル。電力消費量が従来より少ない省エネタイプという。工場拡張に合わせ新規に50人を雇用する。
北村徹所長は「下関造船所が発展するチャンス。いろいろなことに挑戦し常に変わらないといけない」と語った。