微小粒子状物質「PM2.5」などによる大気汚染が原因で、寿命を全うできずに死ぬ人の数は2010年に世界で300万人以上に上るとの分析結果を、ドイツや米国のチームが17日付の英科学誌ネイチャーに発表した。最も多いのは中国の約136万人で、日本は15番目の約2万5千人だった。
PM2.5やオゾンによる大気汚染は、慢性閉塞性肺疾患や虚血性心疾患、肺がんなど多くの病気の原因になることが分かっている。チームは国別の統計データなどを使い、大気汚染物質が原因で早死にした人数を見積もったところ、10年に世界で約330万人に上ったとの結果となった。
最も多いのは中国で、次いでインドの約65万人、パキスタンの約11万人の順。上位にアジア諸国が多かった。チームは現状のままだと大気汚染による死者数は、50年までに約660万人に上ると予測している。
PM2.5などの排出の最も大きな原因は住宅での暖房。アジアでは農業に使う肥料からのアンモニア発生が原因になる場合も多かった。火力発電所や工場からの発生も問題として指摘した。
チームは「アジアで大気汚染を防ぐため、何らかの規制が必要とされるだろう」としている。〔共同〕