【瀋陽=原島大介】日中戦争につながる満州事変の発端となった「柳条湖事件」から84年を迎えた18日、中国・瀋陽(遼寧省)で記念式典が開かれた。事件が起きた日にちなみ、午前9時18分には一斉にサイレンが鳴り、犠牲者を悼んだ。今年は戦後70年の節目となり、会場周辺は厳重な警備態勢が敷かれた。
式典は瀋陽郊外の「九・一八歴史博物館」の敷地内で開催。地元当局の幹部らが参列した。周辺には会場に入れなかった市民が集まり、警察が監視するなか、祈りをささげた。
日本の旧関東軍は1931年9月18日、奉天(現在の瀋陽)の柳条湖付近で南満州鉄道(満鉄)の一部を爆破。これを中国側の犯行と発表して出兵の口実にし、満州事変、日中戦争へとつながった。中国はこの日を「国辱の日」と位置づけ、毎年式典を開いている。
安倍晋三首相は今年8月に発表した戦後70年の談話で満州事変に触れ、「新しい国際秩序への挑戦者となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行った」と明記。談話作成のために安倍首相が設けた私的諮問機関「21世紀構想懇談会」は「満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」とする報告書を作成した。