東日本大震災で住民約100人が犠牲となった岩手県大槌町の吉里吉里地区の方言を集めたかるたを、明治学院大(東京都港区)ボランティアセンターの学生が作成した。震災や高齢化で地域の言葉が廃れる中、地元の学校が教材として採用。郷土文化の継承に一役買っている。
完成したのは「吉里吉里カルタ」。驚いた時に使う「ばぁらぁ」や、しっくりこない様子を表す「えんずぅ」など、吉里吉里語と呼ばれる独自の方言や風土を題材に5・7・5調の句を付けた。
震災直後からこの地区を支援する同センターの学生が、仮設住宅の高齢者らから聞き取り、愛着が強い言葉を中心に選んだ。2月に初版が完成したが「発音が違う」などの指摘があり、8月に改訂版を作った。
町立の小中一貫校「吉里吉里学園」は地元について学ぶ教材として使用している。9月に開いたかるた大会には、中学部の全生徒約60人が参加。「ばぁらぁとたまげた時の吉里吉里語」などと句が読み上げられると「でんでーん!」の掛け声とともに、一斉に絵札に手が伸びた。
中学部7年の芳賀健斗さん(13)は「分からない言葉もあり、2枚しか取れなくて悔しい。家でも練習したい」。かるた作成者の1人で大学2年の相馬遊哉さん(19)は「子どもからお年寄りまで一緒に遊べるのが、かるたの魅力。地域の絆を強めるのに役立てば」と話している。〔共同〕