小渕優子元経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、同法違反(政治資金収支報告書の虚偽記入)の罪に問われた元秘書ら2人の判決公判が9日、東京地裁であった。園原敏彦裁判長は元秘書の前群馬県中之条町長、折田謙一郎被告(67)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
資金管理団体の元会計責任者、加辺守喜被告(62)は禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年)とした。2人はいずれも起訴内容を認め、執行猶予付き判決を求めていた。
判決理由で園原裁判長は「政治活動への国民の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行」と指摘。「違法な手段を取っても国民の疑惑を回避できさえすればよいとする、被告らの姿勢が垣間見える」と述べた。
判決によると、小渕氏の関連政治団体の事務を統括していた折田被告は加辺被告と共謀。2009~13年に小渕氏が代表を務める「未来産業研究会」(東京都)や政治団体「小渕優子後援会」(群馬県)の収支報告書に架空の寄付金の支出や収入を計上したり、観劇会の収入を過少に計上したりした。虚偽記入や不記載の合計額は計約3億2千万円に上った。
園原裁判長は動機について「収支報告書上の繰越預金残高と実際の預金残高との多額の乖離(かいり)を解消する目的だった」とし、「政治活動の公明と公正を確保する法の目的に合わないことはあきらか」と断じた。
虚偽記入・不記載の方針を決め、虚偽記入の額を指示するなど、折田被告が犯行を主導したとし、「裏金の捻出も目的としていた」と認定。加辺被告は「資金管理団体の会計責任者の立場にあり、役割が従属的とはいえない」とした。
小渕氏の事務所は9日、「判決内容を重く受け止める。近く提出される第三者委員会の報告も踏まえ、再発防止に万全を期し、説明する機会を設けたい」とのコメントを出した。