リ・ジョンチョル容疑者(マレーシア警察が19日公開)
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、地元メディアは20日、殺害に関与した疑いで逮捕された北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者(46)について、犯行グループの宿泊や交通を手配するなど現地の取りまとめ役を担っていた疑いが強いと伝えた。他の北朝鮮国籍の手配犯4人はすでに国外逃亡しており、唯一の逮捕者であるリ容疑者が真相解明の鍵を握っている。
特集:金正男氏殺害
リ容疑者は17日夜、クアラルンプールの自宅で逮捕された。現地の華字紙「東方日報」が捜査関係者の話として伝えたところでは、リ容疑者は13日の犯行当時、現場の空港にはいなかったが、全ての容疑者と連絡を取り合い、ホテルや車をあてがっていた。リ容疑者をのぞく北朝鮮国籍の手配犯4人は、17日までに空路で北朝鮮に帰国した。
リ容疑者は、少なくとも1年前から家族連れで市内のマンションに入居。労働ビザの所持を示す身分証を持ち、市内の健康食品販売会社のIT部門で働いていた。捜査当局は、リ容疑者が北朝鮮の工作部門の指示のもと、現地に潜伏して正男氏の立ち寄り先を調べるなど、犯行の準備を進めていた疑いがあるとみて調べている。(クアラルンプール=乗京真知、中野寛)