政府は13日午前、首相官邸で日本経済再生本部(本部長・安倍晋三首相)の会合を開き、首相や経済閣僚と経済界が参加する「官民対話」を同日付で創設した。安倍政権は賃上げに続く景気回復策として、国内企業の設備投資の拡大を掲げている。官民対話で重点的に取り組むべき分野や規制緩和策などについて具体的に意見を交わす。
日本経済再生本部であいさつする安倍首相 (13日午前、首相官邸)
会合で首相は「戦後最大の名目国内総生産(GDP)600兆円を実現するため、日本経済の生産性を抜本的に高める革命に取り組んでいく」と表明。「企業収益が過去最高の今こそ設備、技術、人材に積極果敢に投資していただく」と述べた。「未来への投資を拡大する上で制度的に壁があれば取り除く。聖域を設けずこの場で決めていく」とも強調した。
政府は、企業収益が過去最高水準にあるのに、設備投資の増加スピードが鈍いとみる。政労使会議が賃上げに一定の効果があったように、設備投資も官民対話の場で地ならしを進める考えだ。
官民対話は来春まで毎月開催する。首相のほか、麻生太郎副総理・財務相、甘利明経済財政・再生相、菅義偉官房長官、林幹雄経済産業相、加藤勝信一億総活躍相と企業の経営者、有識者で構成する。毎回、テーマを変える予定で、幅広い業界代表者から要望を聞く。必要に応じてほかの閣僚も出席する。
甘利氏は官民対話の場で、法人実効税率の数年内に20%台という目標の前倒しに関する要望があった場合、「財政再建との関係でできるものはやっていきたい」と前向きな認識を示す。規制緩和や行政手続きのワンストップ化も「具体的な要望があれば、できるものならば即刻やる」と強調している。
一方で「政府が減税や規制緩和をしたのに、企業は内部留保を膨らませるということは(筋が)通らない」と指摘してきた。官民対話の場で、積極的に企業に対して設備投資を働きかけていく考えも示している。