日本臓器移植ネットワークは13日までに、急性脳症のため千葉県内の病院に入院していた6歳未満の男児が臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。6歳未満の脳死判定は2010年の改正移植法施行後4例目で、家族は臓器の提供を承諾した。
臓器は同日中に摘出して、心臓は東大病院で10歳未満の男児、肝臓は国立成育医療研究センターで10歳未満の女児、腎臓は千葉東病院で30代女性にそれぞれ移植される。肺、膵臓(すいぞう)、小腸は医学的理由で移植を断念した。
男児は入院当初から症状が重く、意識の回復が難しい状態となり、家族から「臓器提供はできるのか」と相談があった。家族6人の総意として10日に臓器提供を承諾。12日午前1時40分ごろ、脳死と判定された。
男児の両親は移植ネットを通じ「臓器提供により誰かが救われ、誰かの苦しみが和らげられる可能性があることは、私たちに残された一つの希望のように感じている」とのコメントを発表した。
臓器移植法の改正後、本人が拒否していなければ、家族の承諾により15歳未満でも臓器提供できるようになった。6歳未満は脳の回復力が強いと考えられており、判定基準が厳しくなっている。
6歳未満の1例目は12年6月に富山大病院で男児、2例目は14年11月に順天堂大病院で女児、3例目は今年1月に大阪大病院で女児が脳死と判定され、心臓などが移植された。