昨夏のリオ五輪の男子マラソンで2位でゴールするエチオピアのリレサ
昨夏に行われたリオデジャネイロ五輪の男子マラソン銀メダリストで、エチオピア政府への抗議のため両腕を頭の上で交差させながらゴールした姿が話題を呼んだエチオピアのフェイサ・リレサ(27)が14日、亡命している米国で、約半年ぶりに家族と対面を果たした。
両手でバツ印、命がけの訴え 男子マラソン2位のリレサ
リオ五輪での競技後、母国に帰れば「投獄か殺害されるかも」と身の危険を語り、昨年9月に米国に亡命。AP通信によると、妻と2人の子どもが短期ビザを取得して渡米してきたという。当日はバレンタインデーだったこともあり、多くの国外メディアが、フロリダ州マイアミ国際空港で再会した様子を報じた。
念願かなったリレサは「家族と再び会わせてくれた神様に感謝したい」と声明を出した。ただ、母国で家族や友人らと暮らしたい気持ちも残っているため、完全には喜べない複雑な心境も吐露した。
AP通信などによると、エチオピアではオロミア州などの一部地域での土地の強制収用計画を巡り、2015年から政府に対する抗議が活発化。昨年8月初めには90人以上が治安部隊に殺害される事態も起き、人権団体も懸念を示していた。そのためリレサは、出身のオロモ民族がエチオピア政府の弾圧を受けていることに抗議する意味で、両腕を交差するポーズでゴールしていた。リオ五輪での記者会見では「エチオピア政府は仲間を殺害し、土地や資源を奪っている。私の親族も違法に拘束された。オロモ民族の抗議を支持する」とも主張している。(遠田寛生)