日銀が14日発表した9月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、代表的な指標の1つである「M3(現金、銀行などの預金)」の月中平均残高は、前年同月比3.1%増の1227兆2000億円だった。貸出の伸びが鈍ったことや預金から株への資金シフトなどが影響し、伸び率は前月から0.3ポイント縮小した。
M3の内訳を見ると、預金通貨は5.2%増となり前月(5.8%増)からやや鈍化した。貸出が増加ペースが縮小したことに加え、消費税の納付額が増えたこと、株式相場の下落局面で個人が株式の買い増しに動いたことが影響した。一方、現金通貨は5.9%増と前月から0.6ポイント拡大した。大型連休があったため現金の利用が増えた。
M3からゆうちょ銀行などを除いた「M2」は3.8%増だった。M3に投資信託や国債など貨幣に比較的近い金融資産を加えた「広義流動性」は4.2%増だった。いずれも伸び率は前月から小幅に縮小した。
日銀はM3やM2の伸びの鈍化について「伸び率が徐々に高まっているという大きな傾向に変化はない」(調査統計局)と説明している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕