政府は14日発表した10月の月例経済報告で、景気の「総括判断」を「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」に下方修正した。前月は「一部に鈍い動きもみられる」という表現だった。内閣府によると総括判断の下方修正は1年ぶり。「緩やかな回復」という基調は維持したが、景気全体の表現は3カ月連続で下向きに変えた。中国など新興国経済の減速を受けて企業の生産活動が鈍っていることが総括判断の下方修正につながった。
総括判断を引き下げたことにより、先行きの表現も一部を改めた。9月は「緩やかに回復していくことが期待される」としていたが、「緩やかな回復に向かうことが期待される」に変更した。
14の個別項目のうち、生産の判断を「弱含んでいる」とし、3カ月ぶりに引き下げた。9月は「横ばいとなっている」だった。9月30日発表の8月の鉱工業生産指数は2カ月連続で前月の水準を下回った。スマートフォン(スマホ)用の電子部品関連が振るわず、生産機械の需要も減っている。
政府は8月の月例経済報告まで、景気全体に関する基調判断を「上方修正」「下方修正」「据え置き」のいずれかで示していた。だが9月は「黒か白かの判断は適切ではない」(甘利明経済財政・再生相)としていた。企業の生産活動が明確に下振れした今回、内閣府は「総括判断の下方修正」とする一方で「基調の認識は変更ない」と説明。今後の総括判断では、景気の基調と前月からの変化の方向性の2点を示すとしている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕