警察の捜査に使われるGPS端末
裁判所の令状なく捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査が違法かが争われた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)が15日、初の判断を示す。捜査によるプライバシー侵害や「位置情報」をどう考えるかが焦点だ。
「監視社会招く」か「追尾に必要」か GPS捜査の弁論
車で移動して窃盗を繰り返したとして起訴された男性被告(45)の刑事裁判。一審・大阪地裁、二審・大阪高裁はともに懲役5年6カ月の有罪としたが、大阪府警が令状を取らずに被告らの車やバイクにGPS端末を装着した捜査手法が争点に。一審は「プライバシーを大きく侵害しており、令状が必要な『強制捜査』だった」としたが、二審は令状が必要だったかについて明確な判断を示さなかった。各地の同様の裁判でも、令状なしでGPS捜査ができるかについては判断が分かれている。
プライバシー侵害になる捜査手法は他にもあり、必ずしも裁判所のチェックを経て実施されているわけではないのが実情だ。
企業などが持つ情報を捜査機関が取得する際には、「捜査関係事項照会書」と呼ばれる書類で問い合わせる。刑事訴訟法に基づく手続きで、捜査機関の判断で出せるが、企業側が拒んでも罰則はない。
例えば全国銀行協会は自主ルールで、照会書を受ければ銀行口座の取引内容を捜査機関に開示できる、としている。また、防犯カメラの映像を提供するかは、カメラの設置者の意向次第だが、コンビニチェーン大手は「照会書があれば応じている」という。
一方、通信大手各社は携帯電話…